サイズ22(90-105kg・推奨重量100-101kg)に、ほぼ上限の装備重量103Kgで試乗した。Aライザーの真ん中のラインに指をかけライズアップ。少々意表を突かれたと言うか、いい意味で裏切られたと言うか・・・アスペクトが8あるとは思えないほどの軽さと手応えで簡単に頭上まで上がってきた。翼端は若干折れ気味ではあるものの、すぐに空気が充填されて翼の形を形成してくれた。
翼全体の印象は、とにかく張りがあって剛性が高い。アスペクトが高いグライダーでは、翼端が前後にシェイクするようなことがあるが、そのような挙動はない。普通に飛んでいる分には特別速いと感じることはなく、ここまでの印象はエボックスと大きく違わない。
吸い寄せられるようにサーマルをサーチしてくれ、サーマルに乗ったところでセンタリングを開始。アスペクトがあるのでロールインに気をつかうかと思ったが、これも意外や意外、外翼の動きをそれ程気にしなくても翼はしっかりと旋回に入り、サーマルに乗ることができた。この時点では「とても扱いやすい翼」と言う印象。
もっとも気になるアクセルを試してみた。アクセルの踏み加減はエボックスと変わらないが、加速はスムーズで安定している。フルスピードでの安定感は、私がこれまで体験したことのないものだった。踏み始めからの加速がエックスワンの持ち味で、それがフルアクセル・フルスピードであっても変わらない。
さすがにCCCクラスのグライダーでフルスピードを出せば、とても安定しているなどと言える状況ではない。しかし風切り音は凄まじいものの、「安心感」と言ってよいほどの挙動と操作感だ。しっかりと調整されたハーネスと組み合わせれば、フルアクセルを多用することも苦ではないだろう。
このような微妙な違いが、勝負の世界では勝敗を分ける要因になる。一瞬の躊躇で加速できずに置いて行かれるとか、一瞬の怯みで減速させてしまうとか・・・。エックスワンの扱いやすいアクセルは、いらぬ気の迷いが生じることはないだろう。実際に四国の大会ではフルスピードを多用したが、適度な緊張感でフルスピードを楽しむことができた。